都市型住宅デザインコンセプト
◎都市型住宅の“家のカタチ”
厳しい敷地条件・多様な生活スタイルにもかかわらず、都市生活者はそれに見合うだけの“家のカタチ”を残念だが持ち合せて来ていない。nLDK部屋の数の集まりでは的外れで不満足だ。個性のため、特殊解のスタイルが求められているのだと思う。都市型住宅のイメージを柔らかな概念として持つことが大切になる。
◎限られた敷地を有意義に使い、ミニマムに暮らす
都市の住宅とは限られた敷地にスキマを残さず建つ。共用壁を用いたヨーロッパの街並みや京の町屋などがしかり。内部は豊かな空間価値を持つ。“面積”などという数値では置き換えることはできない。今後、都心居住の多世帯や多機能な住まいへのポテンシャル、期待は増す。例えば三層(多層型住宅)は一解であり、更に豊かな暮らしの提案が盛り込まれるべきである。
◎家族の暮らす“生活のリアリティ”
都市生活の多様なスタイルの理解がデザインの始まりである。人が住む普遍な要求、個性から生じる期待、現代家族間のコンプレックス … すべては生活のリアリティを読み、機微を知ることが必要だ。それぞれの場所と室は、概念として均質空間であることより、生活者の多彩な場面に対応し、豊かな演出提案を試みたものである。
◎Breath in the Air … 2つの吹抜と5つのバルコニー
厳しい敷地条件、窮屈な街並み、ストレスのひしめく都市で、我が家こそは“息ができる場所”であるべきだ。限られた敷地と法制限の最大限で“息のできる仕掛け”を設けたいと考えた。窓を開放すれば外部の空気を室内に同化でき、高さ方向にヴォリュームを取ることで狭小であることを意識させない。光が差し込み、空が見えること、風を感じることがテーマである。
◎家族が自然に集まれるところ … ひとつの空間と柔らかな領域
2階のLDK・Study、3階のKids roomsは吹抜で結ばれたひとつの空間と見なせる。家族の集まるところには、食事、会話、作業、くつろぎ … 一連の生活リズムが同じ空気の中に“自然”に在る、出来るということ。家族は互いに意識の届くところにいながら、コーナーやスクリーンなどの“柔らかい”区画で自分の領域も確かめられる。
◎都市に暮らすことと宇宙飛行士の話
僅か1、2週間程度、単純に宇宙で過ごすという体験をした宇宙飛行士は帰還後、自ら立てず、話を出来なくなるくらい衰弱したという。体力だけではなく、心=精神力も萎えてしまっていた。無重力の宇宙空間とは人間が怠慢になるのに極めて都合の良い環境であると彼は説明した。
飛躍だが極めて生活に便利で都合が良く、多くのストレスがひしめく様は都市に暮らすことにどこか似ているものを感じる。また、宇宙飛行士の心を支えた唯一の事は家族との交信(コミュニケーション)と植物の世話であった。
息をする人間らしく振舞える事こそが都市型住宅に共通するテーマと読んでいる。
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